まほろんイベント「古代の鉄づくり」

5.製鉄炉の解体

 イベント2日目(平成24年11月4日)は、製鉄炉を解体して、炉の底にできた生成物を取り出す作業です。

 

1.送風装置の撤去
 朝一番に、送風装置を取り除き、解体に備えます。製鉄炉の下段部に埋め込んだ羽口は熱を受けたことにより、変色していました。

 

2.解体開始
 チェーンソーで切れ込みを入れたあと、壁に道具を引っかけて解体していきます。

     
 

3.炭を取り出す
 ノロを出す方の壁を外した後、製鉄炉内部に燃え切らずに残っていた炭を取り出しました。

 

4.壁の断面の観察
 半分まで解体したところです。壁の断面を見ると、送風装置に近い、製鉄炉の下部の方が強い熱を受けた様子がわかります。また、製鉄炉の底には溶けきらなかった砂鉄が付着していました。

     
 

5.生成物を取り出す
 壁を全て取り外した後、いよいよ製鉄炉の底にできた生成物を取り出します。パイプを下に差し込んで、製鉄炉の基底部から切り外しました。

 

生成物を冷やす
 生成物はかなりの熱を帯びています。そのままでは観察できないため、水槽に入れて冷やしますが、重いため引きずって運びました。

     
 

7.蒸気が舞い上がる
 生成物を水槽に入れた瞬間、じゅ〜っ!と音がして周りが見えなくなるほど蒸気が舞い上がりました。

  8.みんなで観察
 水槽でしばらく冷やした後、生成物を取り出し、みんなで観察しました。
     
 

9.溶けきらなかった砂鉄
 間近で生成物を観察すると、溶けきっていない砂鉄(写真のごつごつした部分)が多いことがわかりました。ノロがあまりできなかったのは、製鉄炉内の温度が低かったため、化学変化がおきにくかったためと推測されます。

 

10.生成物を冷やす
 それでも、ノロは流れ出てきたため、鉄も出きているはずだと生成物を観察すると・・・、あっ、発見!。小さい塊ながらも鉄発見の第一号です。

     
 
 ★製鉄炉の構築

   → 1.製鉄炉の基底部をつくる


   → 2.製鉄炉をつくる


   → 3.送風装置の設置作業


 ★イベントの様子

   → 4.製鉄炉の操業

11.イベント終了後
 イベント終了後は、製鉄炉はあとかたもないため、何事もなかったかのようです。再度、鉄づくりをするためには、また製鉄炉をつくることから始めなければなりません。古代の人たちが、いかに大変な思いをしながら鉄をつくったかが実感できました。
 なお、今後、生成物から鉄を取り出す作業を行い、後日、イベントの成果をまほろんに展示する予定です。