東川原遺跡 
- 調査期間
 - 4月~12月
 
- 場所
 - 福島県西白河郡矢吹町東川原
 
- 該当時代
 - 縄文・古墳・奈良・平安時代
 
- 調査原因
 - 阿武隈川上流大規模災害関連
 
・7月の調査風景
あっという間に梅雨が明け、だんだんと塩飴がおいしい季節になってまいりましたが皆様いかがお過ごしでしょうか。東川原遺跡では調査開始から3か月が経ち、発掘道具洗浄用の水槽に産み落とされていたオタマジャクシたちもまもなく故郷から跳び立とうとしています。
7月は奈良時代から平安時代の住居跡の調査を中心に行いました。今回はその中でも平安時代の住居跡2軒と古墳時代終末期の住居跡1軒の様子を少しだけご紹介します。

5号住居跡(写真1手前)は平安時代の住居としてはかなり大型で何度も建て替えられた痕跡も見つかっています。壁沿いには壁溝や壁柱穴が巡っています。また、カマドは逆さまに据えた甕に粘土を張り付けるという方法で作られていました。カマドの中は真っ赤に焼けていて長い期間使用されていたことが窺えます。(写真2,3)

(写真2)
(写真3)
8号住居跡(写真1右奥)では住居廃絶時にカマドの中へ大量の土器を廃棄した痕跡が見つかりました。写真撮影に備え、作業員さんが丁寧に土器を検出してくれました。(写真4)
(写真4)
古墳時代の9号住居跡(写真1左手奥)は火災によって廃絶された住居跡で、炭になった柱材が柱穴に刺さったままの状態で見つかりました。また、柱の周りには多くの土玉(土製のビーズ)が散らばっていました。(写真5)

(写真5)
また、東川原遺跡では7/23に現地公開が行われました。とても暑い時期の開催ではありましたが、県内外からたくさんの方々にご来場いただき、とても有意義な時間になりました。(写真6,7)

(写真6)

(写真7)
・6月の調査風景
矢吹町の東川原遺跡では発掘調査が始まってから二か月近くが過ぎ、ホームページの更新が始まらぬうちに排土山に芽吹いた雑草たちが逞しく育ってしまいました。お待たせしてしまい大変申し訳ございません。皆様いかがお過ごしでしょうか。今回は初めての更新ですので6月の調査風景を通じて遺跡の様子をお伝えできればと思います。
現在、重機による表土掘削と作業員さんたちによる遺構の検出作業が概ね完了し、本格的な遺構の掘削作業が進んでいます。すでに奈良時代から平安時代にかけての立派な掘立柱建物跡や竪穴建物跡が数多く検出されており、いよいよ発掘調査らしい風景になってまいりました。気温・湿度ともに高い日々が続く中での大変な作業ではありますが、幅広い年齢層の個性豊かな作業員さんたちが集まり、これからどんな成果が出るのかという期待に胸を膨らませながら和気藹々と調査が進んでいます。
7月23日には遺跡を実際に見学していただける現地公開も企画しています。詳細については遺跡調査部のHPに掲示していますので、そちらも是非ご確認ください。
 
写真1 住居跡を掘っています。
写真2 掘立柱建物跡の大きさをわかりやすく表現するため、柱穴の中に作業員さんたちが入ってくれています。
写真3 竪穴建物跡の写真撮影に向けてきれいに清掃しています。
写真4 深い穴の調査をしています。

写真5 ベテラン作業員さんが初めて調査に参加する若手作業員さんに発掘のコツを伝授してくれています。
