令和7年度発掘調査情報

鶴沼A_鶴沼B遺跡つるぬまえー・つるぬまびーいせき

調査中
調査期間
4月~11月
場所
福島県会津若松市高野町中沼字鶴沼
該当時代
弥生・古墳・奈良・平安時代
調査原因
会津縦貫北道路

7月~8月の発掘調査の様子

 いよいよ夏本番に入り、日中35℃を超える日々が頻発しています。そんな灼熱の現場の様子をお届けしていきたいと思います。

 5・6月で作業を進めていた溝跡からは土器の破片だけでなく、多くの木質遺物も出土しました。出土したての木質遺物は空気にも触れず、光にも当たらずにいたので、しっかりと形を維持しています。しかし、発掘調査により露出してしまうと木質遺物は乾燥してしまい、形が変形してしまいます。

変形を防ぐために、木質遺物を湿らせ、その上から湿らせた紙、ビニールをかけ養生します。そして定期的にビニールをはがし、ジョウロや噴霧器で水をかけていきます。

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写真1 養生中の木質遺物

 これらの木質遺物を取り上げる際にも、湿らせた状態でビニール袋にいれます。袋にも水をある程度入れておくことで、乾燥を防ぎます。ビニール袋に入らないサイズの遺物は、発掘現場で即席の貯水池を作り、その中に沈めて乾燥を防ぎます。

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写真2 仮設貯水池に沈める様子

 木質遺物を取り上げた後も土がまだまだ残っているので、さらに掘り下げます。すると新たな土器の破片が出土しました。これで終わりだろうと思っても土器片が出土するので、油断はできません。

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写真3 さらなる掘り下げ中

 作業員のみなさんのご尽力もあり、無事に北西―南東方向に走る溝跡の発掘が終了しました。しかし溝跡は他の調査区にも伸びているので、まだまだ溝跡の発掘作業は続きます。この溝跡以外にも、別な時代の溝跡や土坑といった他の遺構も検出しています。これらの遺構も作業員さんの手によって発掘されています。

  最初にも書いたように7~8月の現場はとても暑いです。8月の後半に入り、ようやく暑さのピークが過ぎたかなと思いましたが、全くそんなことはなく、まだまだ残暑が厳しいです。そんな中で作業をしてくださる作業員の皆様には本当に感謝しています(いつもありがとうございます…!)。

今後も現場の情報をお届けしたいと思いますので、よろしくお願いします。

5月~6月の発掘調査の様子

鶴沼A遺跡・鶴沼B遺跡の発掘調査が始まりました。両遺跡は会津若松市高野町鶴沼地区にあり、会津縦貫北道路が遺跡のすぐ東側を通っています。周囲には西木流A遺跡や下高野A遺跡などの遺跡も存在しています。

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写真1 鶴沼B遺跡を南西方向から撮影

作業員の人力による丁寧な掘り下げにより、溝跡を確認しました。現在その発掘が続いています。この溝跡は出土した土器の特徴から弥生時代終末期から古墳時代前期のものと考えられ、道路を挟んで北西―南東方向に伸びています。

スコップや移植ベラなどで溝跡内の土を取り除いていくと、土器の破片などが出土しました。土器が出土してもすぐには取り上げず、まずは土器周辺の土を丁寧に取り除いていきます。この時土器に傷をつけないように注意しなければなりません。非常に神経を使う作業なので、作業員の皆さんは黙々と作業されています。

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写真2 作業中の写真

そして丁寧に作業を進めると土器の輪郭が明瞭になってきました。土を取り除いたことで新たな土器の破片が出土しました。さらに周辺を少しずつ掘り下げると、溝跡の底面付近で土器の破片が集中して分布していることが分かりました。

 今後も引き続き鶴沼A遺跡・鶴沼B遺跡の発掘調査情報をお届けしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。