谷地中遺跡
- 調査期間
- 平成28年5月~12月(調査終了)
- 場所
- 南相馬市原町区金沢字谷地中
- 該当時代
- 奈良・平安時代
- 調査原因
- 復興基盤総合整備事業のほ場整備に伴う土取り
谷地中遺跡は、海浜部に近い低丘陵地に立地する遺跡です。本遺跡の東側には、大規模な奈良・平安時代の製鉄遺跡群である金沢地区製鉄遺跡群(現東北電力株式会社原町火力発電所)が同一丘陵上に位置しています。調査では、奈良・平安時代と考えられる製鉄関連遺構がみつかっており、金沢地区製鉄遺跡群との関連性が注目されます。今年度は昨年度からの継続調査です。
6月1日のようす
重機で表土を剥がした後、人力で地面を削り、遺構を探しています。
8月25日のようす
検出作業を継続しています。山裾の傾斜がゆるやかになっている部分に、6軒の竪穴住居跡を確認しました。
[住居跡を検出している様子]
9月29日のようす
竪穴住居跡の近くから、表面がツルツルに磨かれた石の斧が出土しました。この石の斧は、特徴から弥生時代の磨製石斧と思われます。
[磨製石斧出土状況]
10月28日のようす
調査区の斜面下位で平面形が一辺約5mのほぼ正方形の竪穴住居跡を6軒発見しました。住居跡からは古墳時代前期の壺や器台などの土器が出土しています。一方、斜面上~中位では、奈良・平安時代の小型の木炭焼成坑を約30基確認しました。
[2号住居跡の検出状況]
(人が立つ場所の周辺が四角く色が違います)
[2号住居跡の土層断面]
(斜面下の平坦面に住居跡が作られています)
[木炭焼成坑の土層断面]
(長さ約60~100㎝の長方形のものが多く、最下面に炭が残っています)
11月26日のようす
谷地中遺跡の現地説明会を行いました。晴天に恵まれ、多くの方にご来場いただき、奈良時代の製鉄炉跡や木炭焼成土坑、古墳時代前期の集落跡など、2年間にわたる調査の成果を見学していただきました。遺跡は丘陵上にあるので、山を登ったり下りたりするのは見学者も大変そうでしたが、皆さん興味津々な様子でご覧になっていました。
[見学の様子]
遺跡から出土した遺物も展示し、迫力ある流出滓(鉄を作る時に流れ出した不純物が冷えて固まったもの)に驚きの声もあがりました。
地元の方にとって、金沢地区の歴史をまたひとつ知ることができる一日となったのではないかと思います。
[遺物説明の様子]