令和2年度発掘調査情報

前田遺跡まえだいせき

調査中
調査期間
令和2年4月~令和3年1月(予定)
場所
伊達郡川俣町字小綱木字前田
該当時代
縄文時代中期~晩期、奈良・平安時代
調査原因
国道114号(山木屋Ⅰ工区)改良工事

前田遺跡は、川俣町役場より東に2㎞に位置する広瀬川支流の高根川に面した段丘面に立地します。

昨年度の調査では、流路跡から多数の縄文土器や石器と共に多量の有機質遺物や自然遺物が出土しました。今年度は、昨年度に引き続き、集落域の調査を行っていきます。

4月

発掘調査を再開しました。多数の遺構が見つかっています。

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写真1 発掘調査風景

『夏は暑いのがあたりマエダ⁉~前田遺跡熱闘記2020~』

すでに秋めいた今日この頃、みなさんはどうお過ごしですか?

前田遺跡の熱中症対策についてご紹介します。

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今年の真夏の前田遺跡の調査現場を遠くから眺めると、こんな感じです。

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今年の夏は猛暑でしたね。35度を超えた日中は、日影を作って作業します。ちょっと日影になるだけでも、暑さは和らぎます。

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熱中症対策の一つでもあり、土層の判別が難しい前田遺跡では、日影を作ることで見え易くします。

そのため、一輪車で日影だってつくるのさ…

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よしずも使います。

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作業員さん自身も空気を取り込んで風を循環させるベストを着ている方もチラホラ。

もちろん、熱中症対策として、飴や瞬間冷却剤、冷水なども準備してます。

そんなこんなで発掘調査を進めていると…

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縄文時代の人骨が現れたり…

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柱穴がたくさん見つかって、

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柱穴の中には、縄文時代晩期2500年以上前の柱が残っていたり…

土器の布団をかぶった土偶が出たり

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前田遺跡は、まだまだ

たいへんデス!

↓以下のリンク先で前田遺跡土偶の出土状況が3Dモデルでみられます!

https://sketchfab.com/3d-models/jomon-dogu-7b4f456901b845bfb4b1c7a634f9b7de

『前田遺跡遺物展示会・現地説明会報告記2020』

皆様ご無沙汰しております、前田遺跡でございます。

調査が立て込んでいまして、HP更新がままなりませんでした。

そうこうしているうちに山々はすっかり雪化粧し、日に日に寒さを感じる今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか?

遅くなりましたが1112日~14日に行われた「前田遺跡遺物展示・現地説明会」について情報共有いたします。

当日は新型コロナウイルスの感染拡大防止対策を図るため、現地説明会を抽選として人数制限を設け、遺物展示会の開催日数を3日間としました。また、換気やアルコール消毒による新型コロナウイルス対策を徹底致しました。

そのため見に行けなかった方はもちろん、見に行った方も本報告から前田遺跡のスゴみを感じ取っていただけると嬉しいです。

まずは14日に行われた現地説明会の様子を見ていきます。

秋の日差し眩しい中、現場説明会が行われました。

※ちなみにこの青い空に負けないくらい青い色のヘルメットを被っている人達が前田遺跡の調査員です。

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この彼は、縄文時代中期末葉の住居に造られている複式炉の説明をしている所です。「このお家に住んでいた縄文人は、こんなふうに座って火を焚いて調理していたのかなぁ」って解説しているようです。

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こっちの彼は、縄文時代後期前葉の集落跡の説明をしています。ちょっと耳をそばだててみると…「この住居からは、こんな土器や石器がみつかりました~」と解説しているみたいです。
確かに、この住居跡からは、多くの土器や赤彩された石製品が出土しました。

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こちらの彼は、前田遺跡に流れ込んだ土石流の説明をしている所です。「遺跡に沿うように流れている高根川から流れ込んだ土石流の中には、多くの土器や石器が混じっています。」って解説しているようですよ。
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そして、説明会のオーラス(all last)はこちら・・・

皆さんが囲んで見学しているものは・・・

ドドドン!!!!(驚きを表した効果音)

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最大で直径60センチを超える縄文時代晩期の木柱たちでした。人気テレビアニメ風に紹介すると、『木の柱 水の中で呼吸 14本の大型!』という感じでしょうか。

前田遺跡では、有機質が腐食せず遺存しています。このような木柱が140本以上も出土しています。

ここからは、1112日~14日に行われた遺物展示会の様子を見てみましょう。

会場全景です。会場中央には、今年度発掘調査で出土した縄文時代中期から晩期の縄文土器がズラリと並んでいます。

この日のために復元した土器は、前田遺跡から見つかった縄文土器のほんの一部。70㎝以上の深鉢型土器や赤彩された浅鉢など約20点を展示しました。

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お次は石棒や石器や石製品ゾーン

打製石斧や磨製石斧などの工具、ヒスイ製やコハク製の垂飾品、石棒・石刀などの祭祀具を展示しました。

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こちらを見つめるおちょぼ口の可愛らしい土偶は

土器片のお布団を被った状態で発見されました。発見のされ方も可愛い・・・

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こちらの展示ケースも土偶、土製品を展示しています。

土偶の顔部分や体の一部(写真右側)で、腕輪や耳飾りなど(写真左側)を展示しています。

前田遺跡の縄文人はオシャレさんが多かったのかもしれませんね。

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昨年度の発掘調査で全国に衝撃を与えた漆塗り土器ですが、今年度も数は少ないですが見つかっています(写真左下)。彩色されていない土器と比べると隆帯や突起などが、とても丁寧に製作されています。

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そして今年度の衝撃!縄文人骨展示ゾーン!!!!

山々に囲まれた内陸部で人骨が出土するのは全国でも非常に稀です。

4,000年前に生きていた縄文人骨は、縄文時代のまさにタイムカプセル。現代の私たちに様々な縄文時代の情報を示唆するだけでなく、そこに生きていた頃の彼らの思いまで私たちの心に訴えかけてくるようです。どのような暮らしを営んでいたのか、人生を歩んでいたのかを想像すると、何か胸に迫るものがありとても感慨深いですね・・・生者必衰・朝生暮死・邯鄲之夢

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こちらの縄文人骨は、土圧によって形が歪んでいますが、右端をよく見てみると、こちらと目が合いそうな横向きの頭部があることが分かります(: ←こんな感じ

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こちらは、今年度の調査の遺構検出状況や遺物出土状況の写真展示です。

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調査風景や整理作業風景なども紹介しました。

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以上、「前田遺跡遺物展示・現地説明会」の様子でした。

雪交じりの冷たい風がひとしきり寒さを感じさせますが、現場はまだまだ続きマス!

次回の前田遺跡発掘調査情報をお待ちください。

To be continued・・・

「冬は寒いのがあたりマエダ!?~前田遺跡出土遺物の追跡記~2020

寒さがひとしお身にしみるころとなりました。

今年の冬将軍はなかなか手ごわいようですね。

雪降りしきる中、保管している縄文時代晩期の木柱の養生作業を行いました。木柱が入った水槽を保温材で梱包しました。この後、さらに屋根をつけて越冬に備えました。木柱が凍結しないで、春までここで過ごしてくれたらと思います。

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さて、今回の前田遺跡の調査報告は、「現場から発掘した遺物のその後」としまして、整理の様子をみなさんにいくつかご紹介します。

現場から土ごと取り上げてきた縄文人骨のクリーニング作業風景です。

土を削って骨部をハッキリクッキリ出していきます。使用している道具は、なんと歯科医専用器具を使ってカリカリカリ・・・

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すると・・・

このように姿がでてきます!!!

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『すばらしい!』、『ビューティフル!』、『マーベラス!』←班長の口癖(笑)

隣のデスクでは、パソコンに向かって作業をしています。調査現場で調査員が作成した図面をパソコン上でトレースし、きれいな線にしてわかりやすい発掘調査報告書を作成していきます。

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こちらは石器・石製品の分類整理をしています。

前田遺跡からは、石器類もたくさん出土しています。石のナイフ(石匙)や石斧などの工具類、凹石や磨石などの調理具、石鏃などの狩猟具、石棒などの祭祀具などなど・・・

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おっ、こちらの部屋では、水洗作業をしています。土器や石器はもちろん、木柱や漆器などの木質遺物に付いた泥なども丁寧に落とします。

今日は、土器を洗浄中!

優しくブラシでたたくようにトントントン。漆が塗られていたり、炭化物がついていたりするので、丁寧に、丁寧に。

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しーっつ!こちらは真剣に図面整理中!まさに全集中ですな。

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おや、こちらでは、

パソコンで縄文時代晩期の木柱の台帳を作成しています。

出土した木柱の大きさや出土位置、どのような分析を行ったかなどを一目で把握できるように言わば「木柱のカルテ」を作成していきます。

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こちらは編組製品のクリーニング作業中!編組製品は、竹や笹類を細かく裂いて編み込んだ縄文時代の貴重な道具です。非常に薄く繊細なため、通常腐食してしまう編組製品も、前田遺跡ではたくさん見つかりました。

編目をよ~く観察しながら、小さい筆先で泥汚れを落とします。“天使のように大胆に、悪魔のように細心に”作業を進めています。

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以上、「12月後半の前田遺跡出土遺物の整理作業の様子」でした。

2021年1月も、前田遺跡の発掘調査を実施予定です。さぁ、来年も前田遺跡からどのような遺物が出土するでしょうか?

次回の前田遺跡発掘調査情報をお楽しみにぃ(^^♪

皆さまよいお年を・・・☆彡