まほろん通信9号 1 2 3 4ページ

 まほろん夏のてんじ  


<河東町駒板新田横穴からみつかった頭骨>
 古墳からのよみがえり
古墳は黄泉の国への入り口です。黄泉の国へは、ふしぎな鳥が案内します。
 展示資料:福島県泉崎村原山一号墳の鳥形埴輪他
 仏のもとでのよみがえり
 仏教の広まりとともに人々は仏のもとでの「よみがえり」を願い、なきがらを火葬するようになります。
 展示資料:栃木県国分寺町下野国分寺跡の増長天像他
<記念座談会>
期 日7月27日(日)13:00〜15:00
場 所/当館講堂
テーマ/考古学が解き明かす福島・茨城・栃木の交流
出席者/福島県考古学会長 鈴木 啓氏
    茨城県考古学会長 諸星政得氏
    栃木県考古学会長 塙 静夫氏
コーディネーター/当館館長 藤本 強

よみがえり
―FITの昔むかしー

 期 間/7月19日(土)〜9月7日(日)
 今回の展示は、F(ふくしま)・I(いばらき)・T(とちぎ)地域の昔のお墓を探検してみようという企画です。この地に消えていった人々の”生と死”に寄せた思いを、お墓や出土品から探ってみませんか?
 よみがえる八溝山
 FITの中心、八溝山から”金”がたくさんとれたところをふり返ってみましょう。
 縄文からのよみがえり
 FIT地域の縄文人の宝物はヒスイの玉。春に新緑が「よみがえる」色です。
 展示資料:福島県大畑貝塚の       縄文人骨・矢祭町我      満平遺跡の大珠他
 弥生からのよみがえり
 壺につけられた顔はいのちの「よみがえり」を司る神の姿かも知れません。
 展示資料:茨城県大宮町小野天神前遺跡の人面の付いた弥生土器他

 シリーズ復元展示  ・金属学的接合法…接合面に何らかの金属を用い、熱して一体化する方法(鍛接や銀鑞などを使用した鑞接技法、あるいは鋳掛け法など)
 結論から先にお話ししますと、今回は、いずれの接合方法も採用しませんでした。どのような方法で、獣脚が付いた容器が完成したのかは、次回お話しいたします。
 註11995 村上 隆『古代金工における金属接合技術−銀鑞
   (ろう)による「鑞接」技法を中心に−』古文化財論叢U   同朋舎出版

<出来上がった鉄製品(獣脚付き容器)>

鋳型からみた鉄製品の復元 その2

 前回、遺跡から出土した鋳型にシリコンを流し込み、製品の模型を復元したお話をしました。今回は、実際に鋳型に鉄を流し込み、できあがった鋳物製品についてお話しします。
 右下の写真が、古代の鋳型より復元した鉄製品(獣脚付き容器)です。鋳型は、今から約1,200年前(平安時代9世紀頃)のものであり、福島県浜通り地方北部の相馬市山田A遺跡から出土しました。
 写真で解りますように、容器に3本の獣脚(獣の顔をつけた脚)が付いています。容器は、口の部分が僅かに張り出していますが、全体的に浅いボウルのような形をしています。その大きさは、直径20pほど、深さ9pほどです。獣脚は、長さ14.5p、厚さは最大で3.5pです。
 さて、実際に、製作に取りかかってみると、脚の部分と容器部分の接着方法が問題となりました。平安時代において、どのような方法で鉄製の容器と獣脚を接着したのでしょうか。大雑把に言って、古代日本において、金属の接着方法として、以下の三種の方法が存在していたと考えられています(註1)
 ・機械的接合法…鋲を使用したり、“かしめ(棒の両端をつぶして止める方法)”で止める方法
 ・科学的接合法…有機系の接着剤(漆や“ニカワ”など)で貼り合わせる方法  

まほろん通信9号 1 2 3 4ページ