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 まほろん春のてんじ  
<桑名邸遺跡出土縄文土器>
(須賀川市・天栄村の出土品)を一堂に会して展示します。
 時代は、縄文時代から第2次世界大戦前までと幅広く、各時代・時期ごとに選び抜いた資料で、いにしえの石背(岩瀬)郡のようすが明らかになることと思います。
 須賀川市にある遺跡では、集落跡の資料として、一斗内遺跡(縄文時代)・松ケ作A遺跡(弥生時代)・沼平遺跡(平安時代)・関林G遺跡(現代)などがあり、各時代の土器、道具としての石器・鉄製品などがあります。
 この他、古墳の資料として早稲田古墳群(古墳時代)、製鉄工場の出土品として関林H遺跡(近世)などがあります。
 天栄村にある遺跡では、集落跡である桑名邸遺跡(縄文時代)や山崎遺跡(古墳時代〜平安時代)などがあります。
 各時代・各時期ごとに、当時の石背(岩瀬)地方の特色が盛りだくさんありますので、ぜひご覧ください。
テ ー マ 新編陸奥国風土記−巻之二石背郡−
会  期 3月8日(土)〜5月18日(日)
休 館 日 5月5日を除く月曜日と、4月30日(水)
      ・5月6日(火)
開館時間 9:30〜17:00(入館は16:30まで)
場  所 当館特別展示室
入 館 料 無 料
 まほろん春のてんじは、「新編陸奥国風土記−巻之二 石背郡−」と題して、まほろんで収蔵・保管している資料のうち、古代石背郡内で確認できたもの

<空から見た山崎遺跡>
 シリーズ復元展示
撮影の目的は、すべての象嵌の部分が現れているのかどうか、見えていないものはどんな象嵌なのかを判断するためでした。このため斜めや横方向など様々な角度で撮影しました。ところが写真を見ると、複雑な象嵌の線が見えます。表と裏側の象嵌の線が重なって写ってしまうのです。文様を復元するには表裏の象嵌を区別しなければなりません。そこで様々な角度の写真を2枚ずつ撮って、それをステレオ写真の原理で立体視して表と裏の文様を区別したのです。復元作業の陰にはこんな苦労があったのです。
 復元を担当した方々は、道具を使わずに立体視するという特技を身に付けたそうです。
   福島県古墳時代象嵌資料の復元2
 弘法山古墳群をはじめとする県内古墳時代象嵌資料の復元品製作は、まず出土品のX線写真を撮影するところからはじめました。撮影は装置のある福島県立博物館で行いました。
 X線写真は、みなさんが健康診断で行うレントゲン写真撮影と同じものです。文化財の世界でも、出土した鉄製品をX線で撮影して、腐食の程度や元の形状、象嵌の有無を調べるのに利用されています。(そもそも鉄製品の分析にX線写真が利用されるようになったのは、埼玉県稲荷山古墳出土の鉄剣にある象嵌を発見したことがきっかけなのです)。
 X線はたいていのものを透過しますが、物質の種類(もとになる元素)によって、透過の強さが異なるのです。たとえば象嵌に用いられる金属のうち鉄→銅→銀→金の順番(原子番号の順)で、X線が透過しづらくなります。錆は密度が低く、鉄よりも透過しやすくなっています。この性質によってX線の透過した量の差がフィルムに濃淡となって(少ないほど白くなります)現れるのです。異なる材質を用いる象嵌は、はっきりとしたX線写真が得られるのです。
 今回復元した象嵌製品には弘法山古墳群のもののように肉眼で象嵌が見えるものと、錆に覆われて象嵌が見えないものがありました。
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