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 まほろん秋のてんじ  
<土偶(柳津町石生前遺跡)>
縄文早期(約8,000年前)の「常世式土器」標識資料
●柳津町石生前遺跡出土品
縄文時代中期(約4,500年前)の造形的に優れた土器群と土偶
●福島市上岡遺跡の土偶
縄文時代後期(約3,500年前)の「蹲踞土偶」
●いわき市寺脇貝塚出土品
縄文時代後・晩期(約3,500〜2,500年前)の骨角器 
【弥生時代】
●表郷村滝ノ森遺跡の人面付弥生土器
弥生時代中期(約2,000年前)の人面が描かれた土器
●楢葉町天神原遺跡出土品
弥生時代中期(約2,000年前)の棺に用いた土器と勾玉
ふくしまの重要文化財
−考古資料:縄文・弥生時代編−
 
期間/平成14年10月26日(土)〜11月24日(日)
 国や県・市町村は、歴史上重要と考えられる資料を「重要文化財」として指定し、未来に向けて保護しています。県内には現在、国宝が3件、国指定重要文化財が87件、県指定重要文化財が265件あります。このうち考古資料は国指定が8件、県指定が31件です。
 今回は、国・県指定重要文化財で縄文時代と弥生時代の7件の宝物をご紹介します。
【縄文時代】
●福島市仙台内前遺跡出土品
縄文時代草創期(約12,000年前)の爪形文土器や石器
●塩川町常世原田遺跡出土品
 
 シリーズ復元展示  
 <銀象嵌の手順>
 象嵌は現在でも工藝として現役の技術で、様々な装飾品に使われています。たとえば線象嵌も伝統的工芸品に見られます。
 ただ同じ線象嵌でも古墳時代と現代のものでは異なるところがあります。弘法山の象嵌は線が抜け落ちて、溝だけになっているところがあります。ところが現代の象嵌では嵌め込んだ金属が抜けることは絶対にないと言われています。
 古墳時代の線象嵌の溝は、タガネで彫ったときに、周囲にミミズ腫れ状の膨らみができます。線を嵌めた後に、研ぎを加えますが、その時に、周囲の膨らみが線を押える役目を果たします。ところが、この押えが不十分な場合、線が抜け落ちてしまう可能性があります。ところが現代の線象嵌は、タガネで彫った後に、さらにタガネで溝の内側を広げるように細工をします。そのため溝の断面が口の狭い袋状になり、線をはめ込んだら二度と抜けない構造になっているのです。
  福島県古墳時代象嵌資料の復元1
 刀剣への象嵌(ぞうがん)は古墳時代のものが多く知られています。統計によると福島県は、東日本では群馬県に次いで2番目に発見例が多いところです。平成10年に福島県教育委員会が行った矢吹町弘法山古墳群の発掘調査で象嵌大刀が1振出土しました。この刀の発見を契機として、まほろんでは県内の古墳時代象嵌資料の復元品を製作し、「夏のてんじ 弘法山のよこあな」でもその成果を公開したところです。今回からは、象嵌の復元についてお話します。まずは象嵌の基本について紹介したいと思います。
 象嵌ってなあに?
 ある素材(地)に別の材質を嵌(は)め込む装飾技術のことを「象嵌」(「象」はかたちのこと)と言います。
 古墳時代の象嵌は、刀剣のほかに、馬の鞍金具などに表現されています。またガラス玉を嵌める象嵌も見られます。弘法山古墳群の象嵌は柄頭(あるいは鞘尻金具)という金具に銀線で心葉文(もともとは鳳凰をかたどったもの)と呼ばれるデザインが描かれています。また、象嵌は刀剣のような金属工藝だけでなく、陶芸や木工といった分野でも使われている技法です。
 象嵌にはどんな種類があるの?
 弘法山例のように線で表現する象嵌技法を、線象嵌といいます。このほかに代表的な象嵌技術として、平面的に象(かたど)った金属を嵌める平象嵌、地金を布目状に刻んで、象った金属を嵌める布目象嵌などがあります。古墳時代の象嵌はほとんどが線象嵌と考えられ、嵌め込む金属は、ほとんどの場合に銀が使われましたが、まれに金や銅が使われることもありました。
 線象嵌はどんな技法なの?
 線象嵌は地金にタガネで溝を彫り、線を嵌めて、研ぎだす技法です。
 象嵌は現代にもあるの?
 

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