１ ２つの製鉄炉
製鉄炉には箱形炉と竪形炉があります。
箱形炉は浴槽のような形をした炉で、粘土を積み上げて作られます。炉の下部には炉の中に風を送るための複数の穴が開けられ、そこに羽口が装着されます。
竪形炉は、地面を直径約60�僂留濺�形に深く掘った部分を炉とし、地上部に粘土で煙突を設けた構造です。炉の後ろに送風装置が設置され、炉の中に風を送り込むための大型の羽口が１本取り付けられます。
 |
 |
|
| ７世紀後半の箱形炉（鳥打沢Ａ遺跡15・16号製鉄炉跡） | ８世紀の箱形炉（鳥井沢Ｂ遺跡１・２号製鉄炉跡） | |
 |
 |
|
| ９世紀の箱形炉（大船さくＡ遺跡32・33号製鉄炉跡） | 竪形炉（長瀞遺跡22号製鉄炉跡） |
２ 燃料を生産する木炭窯
 |
| 鳥打沢Ａ遺跡35号木炭窯跡 |
製鉄作業の中で木炭は大変重要なものです。木炭は始めに炉内を温めるために投入されます。次に砂鉄が投入され始めると、その燃焼した熱で砂鉄を溶かすとともに、発生する一酸化炭素ガスで砂鉄を鉄にする役割を担います。
金沢地区から見つかった木炭窯の数は152基に上ります。鳥打沢Ａ遺跡14号窯のみが横口付木炭窯です。他は全て丘陵斜面の傾斜に沿ってトンネル状に掘られたもので、斜面の下の方に焚口、上の方に煙突を設けています。底面の平面形は羽子板状で、横断面はかまぼこ形をしているのが特徴です。
木炭窯の中を発掘すると、天井の崩落などにより木炭が取り出されないで重なって残っている場合があります。その出土状態や木炭の観察から、樹齢30〜50年くらいの樹木を割って、奥壁から順に立て掛けながら窯詰めしていることや、樹種はコナラ・クヌギなど丘陵に生い茂っていた雑木であることなどが分かりました。
大船さくＡ遺跡 遺跡DB 遺物DB 写真DB
鳥井沢Ｂ遺跡 遺跡DB 遺物DB 写真DB
長瀞遺跡 遺跡DB 遺物DB 写真DB
