１ 製鉄を管理・掌握する施設
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| 大船さくＡ遺跡建物群 |
金沢地区製鉄遺跡群の南東部に位置する大船 Ａ遺跡の一画に、製鉄関連遺構が希薄な地域があります。
ここからは掘立柱建物跡29棟、竪穴住居跡32軒が発見されています。これらの建物跡や住居跡は同一時期に存在したわけではなく、８世紀〜９世紀の間に７時期にわたって変遷していました。一時期には建物跡３〜10棟、住居跡２〜５軒ずつが存在していました。また、遺構は時期ごとに方位を意識して構築されており、近接する建物跡は柱筋を通すなど企画性を持って配置されています。当時、このように複数の遺構が企画性を持って配置されたのは、役所や寺院などの公的な施設でしたので、この地域は製鉄を管理・掌握するための施設ではないかと考えられています。
さらに、ここからは「厩酒杯」の墨書や「今」の刻書のある土師器をはじめ、多くの土師器・須恵器が出土しています。
２ 製鉄に関わった役人のお墓
鳥打沢Ａ遺跡の一画から８世紀中ごろ〜９世紀前半の墳墓が14基見つかりました。このうち１〜３号墓は、穴の中に骨蔵器を埋納するものです。骨蔵器内には火葬された人骨が納められます。１号墓の骨蔵器は薬壺形をした納骨専用の壺であるのに対して、２・３号墓には須恵器の甕が転用されていました。１号墓には製鉄に関わった役人の中でも最高位の人が埋葬されたものと推測されています。
３ 木炭窯で行われた祭祀
大船さくＡ遺跡25号木炭窯では廃絶後の窯内の奥壁側から４個の土師器杯が置かれた状態で出土し、長瀞遺跡14号木炭窯では最終操業面上より羽口が13本まとまって出土しました。
窯は異界への出入口ともされ、封じない限り悪霊が出入りすることから、両窯では廃棄した窯に対する窯封じの儀式を行ったものと推測されます。大船 Ａ遺跡25号木炭窯から出土した土師器は、底部に穴が開いていました。おそらく、窯の継続使用を断つという禁忌を意味していると考えられます。
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| 鳥打沢Ａ遺跡１号墳墓跡 | 大船さくＡ遺跡25号木炭窯跡 |
４ もう一つのコンビナート−大さく遺跡−
金沢地区製鉄遺跡群の西方約２�劼僚蠅棒郢卉篭茲�ありますが、ここにも大さく遺跡・割田遺跡などの製鉄遺跡が存在します。
大さく遺跡は８世紀中ごろ〜10世紀中ごろの遺跡で、製鉄炉７基、木炭窯26基、須恵器窯２基、竪穴住居跡17軒が発見されています。金沢地区製鉄遺跡群は10世紀初めごろで製鉄炉の火を落としますが、大さく遺跡ではその後約50年間、製鉄が行われています。海辺の金沢地区から生産の場が内陸に移動したのでしょうか。
