平成30年度 文化財講演会

縄文中期の集落〜法正尻遺跡を中心に〜 


 平成30年6月17日(土) に「縄文中期の集落〜法正尻遺跡を中心に〜」と題した講演会が行われました。 講師は、法正尻遺跡(猪苗代町・磐梯町)の調査担当者であった公益財団法人福島県文化振興財団遺跡調査部の松本茂調査員です。
 松本調査員は、福島県内の埋蔵文化財調査に長年にわたって携わり、特に縄文時代中期の研究を牽引して来ました。


   今回の講演では、中期の遺跡の貯蔵穴容量に着目し、集落の性格を分析するという、新たな視点が提供されました。大木8b式〜10式期の福島県内の遺跡では、居住域と貯蔵域が分離する傾向が強いことが説明されました。そして、貯蔵穴容量のバリエーションが示す遺跡の性格の差異が論じられました。
 このほか、高木遺跡(本宮市)251号住居跡の複式炉から出土した「曽利系土器」と複式炉形態の検討に基づき、異なる部族の移住による複式炉形態の変異が指摘されました。