上岡遺跡出土土偶(福島市)

 県指定重要文化財
(昭和36,3,22指定) 福島市所蔵
 上岡遺跡は、摺上川の河岸段丘上にある縄文後期から晩期の遺跡です。
 上岡遺跡の発見は、古く昭和27年にさかのぼります。地主の子息小原元七氏・恒七氏の兄弟が桃畑の排水溝を設置する際、地元郷土史研究者の坪池忠夫氏とともに遺物を採集したのがきっかけでした。そして12月15日、このたいへん珍しい蹲踞土偶は3人の手によって3,500年ぶりに再び陽の光を浴びることとなったのです。
 土偶が出土した翌々日から県教育委員会の指導のもと、本格的発掘調査が行われました。県内の発掘調査としては初期のもののひとつです。住居跡が2軒確認され、土偶もその住居跡の中からの出土であることがわかりました。
 地元の研究者の地道な活動が実を結び、地主の方が埋蔵文化財のあることをきちんと認識してくれたおかげで、私たちは今この貴重な土偶を目にすることができるのです。


<現在の遺跡のようす>
(福島市教育委員会提供)