幕藩体制下の鉄づくり

1 幕末の製鉄遺跡

羽山B遺跡1号製鉄炉跡

 江戸時代、行方郡は相馬中村藩領に属していました。相馬中村藩では、盛岡藩及び八戸藩で生産された鉄を輸入していました。ところが、幕末になるとペリーの浦賀来航や開国などの社会事情により、国防に対する気運が高まり、鉄の需要が増加し、価格も急騰して両藩からの鉄の輸入が以前のようにはいかなくなります。そこで、藩は安政3年4月に行方郡内の馬場鉄山(中之郷鉄山とも言う)で「御国産之鉄」を作り始めますが、藩内の需要を満たすまでは至らなかったようです。
 この馬場鉄山の近隣には、小規模な製鉄遺跡の五台山B遺跡と羽山B遺跡が所在します。両遺跡からは、炉の後ろに踏みふいごを付設する製鉄炉が見つかっています。炉の中に風を送り込むための羽口は古代のものと比べると径が大きく、外面には簀巻き状の圧痕があるのが特徴的です。これら2遺跡では馬場鉄山と一体となって「御国産之鉄」を生産していたものと推測されます。

◎ 展示遺物一覧

羽山B遺跡 遺跡DB 遺物DB 写真DB
五台山B遺跡 遺跡DB 遺物DB 写真DB