�　．織離�ミのまつり

　正直Ａ遺跡の３つの祭祀跡は、集落に入り込む３つ谷部で見つかっています。当時谷には湧水があり、その下の低地に広がる水田に水を供給する重要な役割が神聖視され、祭祀の場になったのでしょう。現在も水田稲作地帯では、水の恵みをもたらす水源の山にすむヤマノカミを稲作の神（タノカミ）として里に迎え、豊作を願う風習が見られる場合があります。正直Ａ遺跡の祭祀跡も同様の農耕儀式のなごりなのかも知れません。
　1号祭祀跡からは、東西約10ｍ、南北約５ｍの範囲から完全な形に復元できる土器約90点と石製模造品類約250点が出土しました。土器はいくつかのブロックに分けられ、複数回のマツリが行われたようです。各ブロックからは甕と杯が共通して出土し、これに壷・高杯・鉢が伴います。石製模造品には穴が空いており、何かに吊り下げたり、結んでいたのでしょう。
　タノカミを宿らせるヨリシロやその結界に石製模造品を下げ、周囲に供え物（神饌）を入れた甕や壷を置き、マツリに参列した人々が神饌を食べ合う、そんな光景が繰り広げられたのでしょう。

石製模造品剣形
土師器杯

土師器壺
土師器甕