5 中近世のあぶくま

 (1)郡山市木村館跡

 木村館跡は、中世終わりごろの三春田村氏配下の山城で、発掘調査では、城跡北側区画から平場や建物跡、土塁、堀、石垣といった城跡特有の施設がみつかりました。特に石垣で作られ、櫓や門が付帯する防御施設である枡形(写真参照)が残りの良い形で見つかったことは注目されます。
 遺物としては、陶磁器類や砥石、石臼などが見つかっており、陶磁器類から、中世では新旧2時期の段階があることがわかりました。新しい時期の天正10年(1582)以降には、平場をはじめ各施設の拡張が行われています。ちょうどこの時期は、伊達氏による奥州征覇の時期と重なり、政治的な背景から、本城跡が伊達方の軍事的な拠点として再構築されたものと思われます。また、文献史料から、城主は、田村家の有力家臣橋本刑部と推定されます。


枡形遺構

陶器皿

土師質土器皿