はにわ人(びと)あらわる
−本宮町(もとみやまち)天王壇(てんのうだん)古墳の埴輪−

 天王壇古墳は、宅地(たくち)の造成(ぞうせい)にともなって昭和57年に古墳の一部が調査されました。その結果、天王壇古墳は直径(ちょっけい)38mの円墳(えんぷん)で、造(つく)り出しがつくことがわかりました。古墳の周りをめぐる溝からは転落した状態で多くの埴輪が出土し、その特徴から古墳時代中期につくられたことがわかりました。
 天王壇古墳から出土した埴輪は、人物の埴輪が出現する時期の特徴をよく示しています。甲冑(かっちゅう)(カブトとヨロイ)の埴輪には、顔や手足がありません。また一体だけ見つかった人物の埴輪には手がつけられていません。このような特徴をもつ埴輪は今のところ天王壇古墳からだけしか見つかっていません。天王壇古墳の埴輪は、人物(じんぶつ)埴輪(はにわ)がどのようにして現れるのかを考える上で重要な資料といえます。天王壇古墳からはこのほか、狩猟(しゅりょう)の場面をあらわしたと思われる犬とイノシシの親子の埴輪、ニワトリの埴輪、何の鳥を表現しているのかよくわからないナゾの鳥の埴輪などが出土しています。


犬の埴輪

馬の埴輪