まほろん実技講座
「むかしの料理をつくろう」の様子
 平成25年10月5日(土)に、まほろん実技講座「むかしの料理をつくろう」を実施しました。料理は奈良〜平安時代のものに絞り、、「強飯(こわめし)」「蘇(そ)」「サトイモの汁物」をつくりました。強飯は野外展示「奈良時代の家」のかまどを、汁物は同「縄文時代の家」の複式炉を使って調理しました。
 

1.ガイダンス

 今回は、大人の方7名にご参加いただきました。
 
 はじめに、常設展示室で、「食」についてガイダンスを行いました。
 写真は、「古墳時代の食卓の様子」にある“かまど”です。かまどは、古墳時代に大陸から伝えられました。

     
 

 かまど上部にセットされているのは、長胴の甕と、底に穴があけられている甕“甑(こしき)”です。このセットは「蒸す」ための道具で、甑はいわばセイロの役目をします。下の甕に水をはり、上の甑に蒸気を上げ、蒸す仕組みです。今回は、これらを使って強飯をつくります。強飯とは“蒸したお米”のことで、現在の「おこわ」のルーツです。

     
 

2.調理開始

 野外展示「奈良時代の家」に移動して、いよいよ料理開始です!
  
 かまどでは強飯づくり。お米は、縄文時代からすでにあったとされる赤米を使い、栗といっしょに蒸しました。  
 かまどの前では、蘇づくりをしました。蘇は今でいうところのチーズに近い乳製品で、牛乳をとろ火で焦げないように混ぜながら、煮詰めて作ります。30分くらいすると、牛乳の甘い香りが漂いました。

     
 

 こちらはサトイモの汁物づくりです。かまどがなかった時代の料理づくりも体験していただくために、「縄文時代の家」の複式炉を使用しました。
 薪の火が安定するまでが難しく、受講者も悪戦苦闘!途中、火が消えてしまったりもしました。

     
 

 火が安定してきた後は、約10分ほどでぐつぐつ煮えてきました。
 具材はサトイモのほか、キノコ、栗、フキなどを入れました。味付けは塩です。

     
  3.試食


  約1時間半で、すべての料理が完成しました!写真左手が強飯、中央が蘇、右手がサトイモの汁物です。

 ちなみに強飯は、残念ながらうまく蒸すことができず、あらかじめ炊飯器で炊いておいたものを試食しました。
     
 

・強飯…「食感がいいね。」「赤米は、お赤飯のご先祖様なんだよね。」
・蘇…「意外と甘くておいしい。」「クッキーのような、バターのような、不思議な食べ物だね。」
・サトイモの汁物…「調味料は、塩のほかにはどんなものがあったんだろう。」

などなど、感想を言い合いながらの食事は、とても楽しいひと時となりました。

     
 

4.記念撮影

 「たき火の近くにいたら、とても癒された。」「昔を思い出した。」など、体験を通していろいろなことを感じることができました。
 「今度は江戸時代頃の食事をつくってみたいなぁ。」という声も。探究心に火が付いた様子の参加者の方々でした。