まほろん実技講座

古代の鍛冶体験」の様子


 平成22年10月9日(土)に、まほろん実技講座「古代の鍛冶体験」を行いました。昨年度実施したまほろんイベント「古代の鉄づくり」でできた鉄を材料に、14名の方々にオリジナルの鉄製品づくりに挑戦していただきました。トンテンカン!と心地よい音が鳴り響いた一日でした♪
 
1.鍛冶炉と手差しふいご
 実技講座の開始を待つ鍛冶炉(写真中央)と手差しふいご(写真左)。講座では、手差しふいごで空気を強制的に鍛冶炉に送り、炭火の温度を上げます。
  2.公開鍛錬
 鍛冶体験をご指導いただいた刀匠・藤安将平さん(写真左)による公開鍛錬(※鉄を叩いて成分を均質にする作業)。十分に熱した鉄を叩いて伸ばし、折り返しては叩いて伸ばしを繰り返します。参加者の皆さんが行う鍛冶体験の前には、このような工程があるということを学んでいただきました。
     
 

3.大槌を振るう
 参加者の方に大槌を振るう体験をしてもらいました。大槌の重さは、なんと8kg!小学生にはなかなか難しいですが、頑張って挑戦!

  4.火造り(ひづくり)(1)
 いよいよ鍛冶体験の始まりです。最初は火造り(ひづくり)という作業で、炭が燃える鍛冶炉の中に、‘てこ棒’につけた素材を入れ、熱します。長時間入れておくと鉄が溶け出してしまうので、見極めが大切です。
     
 

5.火造り(ひづくり)(2)
 素材が赤くなったら金床(かなとこ)の上にのせ、その上から金槌で叩いて形を作っていきます。皆さん初めての体験ですから、思い通りの形にはなかなかなりません。目標の形になるまで、4と5の作業を繰り返します。
  6.整形(1)
 火造りが終了したら、今度は形をきれいに整える作業です。素材を万力で固定し、ヤスリで削っていきます。
     
 

7.整形(2)
 整形の第二段階は、‘セン’という道具で素材の平らな部分を整える作業です。カンナをかけたように平らになるよう、皆さん真剣です。
  8.仕上げ
 電動のヤスリを使って表面をピカピカに仕上げ、形を整える作業は終了です。
     
 
9.カラムシを巻き付ける
 ここまで来たらあと一息。手で持つ部分にカラムシの糸を巻き付けたら・・・、完成です!
  10.完成品
 皆さんがこの実技講座で作成した製品は、今後、まほろんで展示させていただく予定です。
     
 

11.炭割り
 まほろん職員が小割りしているものは‘炭’です。鉄を熱するための燃料の炭は、鍛冶体験に欠かせないものの一つです。古代の人たちも炭割りを行ったであろうことを、見学していただきました。

 

12.残っていたもの
 金床の周りにちらばったもの、これは鍛造剥片(たんぞうはくへん)といって、鉄の表面にできた酸化膜が、金槌で叩いた時に剥がれ落ちたものです。遺跡の発掘調査をしていると見つかることがありますが、これは鍛冶作業を行った証拠ともなります。