■企画展示案内■

　指定文化財展「ふくしまの重要文化財XI　古墳時代の馬具―いわき市中田横穴墓出土の馬具―」

 
＜中田横穴の内部（いわき市教育委員会提供）＞  

＜復元された馬具＞

　会期：平成25年７月20日（土）〜９月23日（月）
　会場：まほろん特別展示室（入場無料）
　まほろんでは、平成14（2002）年度から国や福島県が指定した重要文化財を紹介する指定文化財展を「ふくしまの重要文化財」として開催しています。いわき市「中田横穴墓」は昭和44（1969）年１月に道路工事中に偶然発見されました。横穴墓の墓室である玄室内には、赤や白の顔料を使用して一辺が約40�僂了鯵冓戸佑�三段にわたって描かれています。我が国の代表的な装飾横穴として、昭和45（1970）年５月11日に国の史跡に指定されました。
　また、多量に出土した副葬品は、勾玉（まがたま）・管玉（くだたま）・青銅製釧（せいどうせいくしろ）などの装飾品、鉄鏃（てつぞく）などの武器類やよろいなどの武具類、わが国最大級の金銅製馬鈴（ばれい）はじめ尻繋（しりがい）・鐙（あぶみ）・障泥（あおり）・鈴（すず）・胸繋（むねがい）・面繋（おもがい）などの馬具類、この他に土師器や須恵器などの土器類が発見され、多彩な出土品は昭和58（1983）年３月25日に福島県の重要文化財に指定されています。
　まほろんは、開館以来の研究テーマとして金属器の復元を行ってきました。平成17（2005）年度から平成23（2011）年度にかけて中田横穴墓から出土した馬具一式の復元製作研究を行い、当時の馬具の輝きを今に蘇らせました。中田横穴墓から出土した馬具（尻繋・鐙・障泥・鈴・胸繋・面繋）や復元品を中心に、まほろんで行った中田横穴墓出土の馬具の復元研究の成果を紹介します。
　なお、８月24日（土）には、中田横穴墓の発掘調査や報告書作成に携わった馬目順一氏（福島県考古学会　顧問）によるまほろん文化財講演会「中田横穴墓と古墳時代の馬具」を開催します。

■１学期のおでかけまほろん■

＜「おでかけまほろん」の勾玉づくり
（会津若松市立永和小学校）＞

　まほろんでは、館外体験事業として「おでかけまほろん」を毎年実施しています。「おでかけまほろん」は、県内小中学校や特別支援教育学校を対象として、まほろん職員が土器などの考古資料や、体験学習器材を携えて学校へ出向き、臨場感のある地域の古代史やその時代の暮らし、知恵・技術に関する体験学習を行うプログラムです。体験学習のメニューとしては、「いろいろな土器にさわってみよう」・「火おこしに挑戦」・「勾玉づくり」・「弓矢体験」などがあります。
　今年度は、４月から１月までの10ヶ月間で、昨年度より７校多い、47校の学校（２校が近隣の学校や、原発事故のため避難して同居している学校と合同）で実施するよう計画しました。1学期は27回29校を予定しています。６月までに年間実施予定校の半分を越える27校で実施しました。
　６月までに「おでかけまほろん」を実施した学校を地域的に見てみると、県中地域（11校：41％）と県北地域（10校：37％）が多い傾向にあります。県中地域を市町村別に見てみると、郡山市が４校、須賀川市と田村市がそれぞれ３校、浅川町が１校となっています。郡山市の４校の中には、私立小学校では初めての実施となった、郡山ザベリオ学園小学校があります。また、緑ヶ丘第一小学校は郡山市で１・２を争うマンモス校で、156名の児童のみなさんが「土器さわり」・「火おこし」・「弓矢」の体験を交替で行いました。県北地域では福島市が４校、伊達市が３校、二本松市が２校、本宮市が１校になります。福島市４校のうちの福島県立聾学校福島分校は２度目の訪問です。このほかに、福島県立須賀川養護学校にも初めて訪問し、勾玉づくりの体験学習を行いました。２地域以外では、いわき市で５校の小学校で「おでかけまほろん」を実施しました。このうち、田人第一小学校は３度目の訪問ですが、近隣の貝泊小学校の６年生１名も加わりました。このように、「おでかけまほろん」は近隣の学校と合同で行う例もあります。会津地域では、会津若松市の永和小学校が初めて実施した学校です。
　夏休みを折り返し点として、後半も様々な学校に「おでかけまほろん」は出かけていきます。予定学校のみなさん、楽しみにお待ちください。

■文化財研修・講演会のご案内■

７〜９月の文化財研修・講演会について
　７〜９月の文化財研修は、２コースを予定しています。８月６日（火）〜８日（木）は、教職員等発掘調査体験研修を実施します。会場は二本松市内の発掘現場で、基本的な発掘調査技術が学べます。９月４日（水）・５日（木）は、文化財保護指導者研修会を実施します。県内各市町村の文化財保護について指導的立場にある関係者の方々を対象とした、文化財に関する専門的な研修です。福島県教育委員会・国見町教育委員会との共催で、国見町を会場として行います。
　７〜９月の講演会は、館長講演会と文化財講演会を各２回予定しています。館長講演会は、『北日本の縄文文化について』をテーマに年５回開催しますが、第２回を７月20日（土）に、第３回を９月21日（土）に行います。
　文化財講演会は、８月24日（土）に外部講師を招いて「中田横穴墓と古墳時代の馬具」を開催します。装飾横穴墓としては著名ないわき市中田横穴墓についての講演です。９月14日（土）には「白河地方の考古学研究」を外部講師を招いて開催します。
　各詳細は、開催日の約１ヶ月前に、ホームページや館内備え付けのポスター・チラシ等でお知らせします。みなさんの応募・参加をお待ちしています。