■震災復興とまほろん■

＜完成した文化財仮保管施設＞

　　平成25年度のまほろんは、「見て・触れて・考え・学ぶ」体験型フィールドミュージアムを目指して、様々な展示や体験活動を実施するとともに、震災復興に焦点を当てた事業を展開し、福島県の文化の復興の一助となるように、さらにまほろんから多くの皆様に「元気・勇気」を発信します。
　まほろんでは、東日本大震災で被災し、原子力発電所事故の影響により警戒区域に指定された浜通り地方の双葉町・大熊町・富岡町の各資料館から救出された文化財を、敷地内に設置された仮保管所に整理・収納し、文化財復興展「救出された双葉郡の文化財」として展示公開します。被災地の一刻も早い復興と救出された文化財が元の地域に帰れることを祈念し、広く県民の皆様に警戒区域の歴史や文化を紹介します。　
　文化財講演会・文化財研修では、これまで同様に文化財等に親しむ機会を広く提供するとともに、新たに、被災した多くの有形・無形の文化財の復旧・復興への取り組みについても紹介します。
　体験学習やイベント等では、様々な体験活動メニューを企画・実施し、すばらしい歴史を身近に感じていただくと共に、いっそう皆様に親しまれるように努めてまいります。



■まほろん冬まつりの様子■

＜本物の土器や石器にさわってみよう＞

　平成25年２月17日（日）、「まほろん冬まつり」を開催しました。当日は天候にも恵まれ、前年を上回る約580人の方々が来館し、冬のまほろんを満喫していただきました。
　館内では、「昔の遊びに挑戦」、「本物の土器や石器にさわろう」などが行われました。「昔の遊びに挑戦」では、独楽まわし・お手玉・貝あわせ・福笑いなどの遊びにチャレンジ。大人の方も、童心に返って遊ぶ姿が見られました。また、「紙かぶと・缶バッジづくり」では、自分でつくった紙かぶとや缶バッジを、さっそく館内で身に着けて歩く光景も見られました。
　「本物の土器や石器にさわろう」では、子ども達が実際に遺跡から見つかった土器などに触れながら、積極的に学芸員に質問していました。
　「昔のお菓子づくり体験」は、今回、綿菓子づくりを行いました。機械の中で、割りばしをクルクル回して、綿のような飴を巻き取っていく作業に、子ども達も真剣でした。
　このほか、館内では「時代衣装を着てみよう」、「まほろんオリエンテーリング」なども行われ、終日賑わいました。
　館外では、毎年恒例となった「まほろんもみぎりファイヤー」で、多くの家族連れが、棒１本で行うもみぎり式の火おこしに挑戦しました。成功した方には、「火おこし名人」の認定証とまほろんグッズをプレゼントしました。
　なお、恒例となった福島県立図書館の移動図書館では、来館された方々に書籍の貸し出しを行い、多くの方にご利用いただきました。

 

   
＜煙草盆（双葉町歴史民俗資料館所蔵）＞ ＜仏像（大熊町民俗伝承館保管）＞

■企画展示案内■

文化財復興展
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　会期：平成25年３月７日（木）〜６月９日（日）
　会場：まほろん特別展示室（入場無料）
　文化財復興展は、東日本大震災で被災し、原発事故の影響により警戒区域に取り残された浜通り地方の双葉町・大熊町・富岡町の各資料館から文化財レスキューによって救出された資料を展示・公開し、復興を祈念する企画です。
　今回の展示では、双葉町・大熊町・富岡町の考古資料・民俗資料・古文書等の歴史資料を公開し、地域の歴史や文化を紹介しています。
　双葉町は、国の指定史跡清戸●※（きよとさく）横穴墓や奈良・平安時代の郡衙跡（ぐんがあと）である郡山五番（こおりやまごばん）遺跡などの古代遺跡からの出土品や相馬地方を代表する伝統行事である相馬野馬追に参加する旧家に所蔵する蒔絵入りの鞍（くら）や漆塗りの鐙（あぶみ）・漆塗りの工芸品を展示しています。
　大熊町は、熊川（くまがわ）上流に所在する縄文時代早期から晩期にかけての砂出（すなだし）遺跡、縄文時代晩期に栄えた熊川中流に所在する道平（どうだいら）遺跡、小入野川（こいりのがわ）流域に所在する縄文時代中期後半から後期の南沢（みなみざわ）遺跡からの出土品、江戸時代の陶器・版木・仏象、懐かしい昭和時代の生活用具を展示しています。
　富岡町は、縄文時代晩期に栄えた集落の関根（せきね）遺跡、弥生時代中期の毛萱（けがや）遺跡、古墳時代中期の小浜（こばま）古墳群、奈良・平安時代の小浜代（こばまだい）遺跡から出土した考古資料を展示します。また、江戸時代は当地方を支配した多古藩（たこはん、現在の千葉県香取郡多古町）のゆかりの掛け軸や古文書、明治時代の布達集を展示しています。
　文化財は地域の歴史とともに歩み・守り・伝えられてきた貴重な財産で、地域の人々の心の支えでもあります。今回の展示は地域の歴史を後世に伝える貴重な文化財を通して、警戒区域内の歴史などに思いを馳せていただければと思います。
（※●は廴に白）

＜小浜代遺跡　軒丸瓦（富岡町歴史民俗資料館所蔵）＞