■文化財研修のご案内■
10〜12月の研修
平成23年の10〜12月の文化財研修は以下の５コースを予定しています。
10月16日（日）は、無形の文化財基礎研修「風俗慣習（祭り）」を実施します。当研修は、無形の民俗文化財の調査・記録・活用等について学びます。今回は祭り行事を中心とした「風俗慣習」を取り上げます。
10月23日（日）は、考古学と関連科学「黒曜石の産地同定」を実施します。黒曜石は、貴重な石器の材料として旧石器時代から流通しますが、黒曜石産地同定の意義と近年注目されている福島県南部に隣接する那須山系の高原山の黒曜石と流通について学びます。
11月27日（日）は、体験学習支援研修�記 崚收宿丙遒蝓弊什遏法廖�12月11日（日）は、体験学習支援研修�記◆崚收宿丙遒蝓別郛討�の方法）」の研修を行います。この２回の研修は、体験学習を文化財啓発や公民館活動、学校教育に応用しようとする方々のための研修です。今回は、土製品の製作から野焼きで完成するまでの一連の作業を学びます。
12月18日（日）は、専門考古学講座�掘崚攣婀錣慮�方（古墳時代中期）」を行います。当館に収蔵されている古墳時代中期の土師器を観察し、当該期の土器研究方法などについて理解を深める研修です。
以上が10月〜12月の文化財研修です。各文化財研修の詳細については、開催日の約一カ月前に、ホームページや館内備え付けのポスター・チラシ等でお知らせしますので、ご覧いただければ幸いです。皆さまの応募をお待ちしています。
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| ＜剥片がまとめて見つかった様子＞ | ＜接合した縦長剥片の一例＞ |
福島市弓手原Ａ遺跡出土の剥片
今回は、福島市弓手原Ａ遺跡から発見された縄文時代の「剥片」について紹介します。
弓手原Ａ遺跡は、福島市の摺上川上流にあり、摺上川ダム建設に伴い県教育委員会が発掘調査しました。この中でも、剥片が出土した土坑（小型の浅い穴）は、縄文時代中期末葉頃（約4,000年前）の遺構群の中にあります。
弓手原Ａ遺跡から出土した剥片は、下の写真にように土坑からまとまって見つかりました。これらの剥片は、全体に丸味を持つように重なりあう様子から、袋のようなものに入れられていたと考えられます。このような出土例は、県内でも数例ほどと思われます。
剥片は、原石から剥がしとった石器を作る材料です。これらの石器の材料には、硅質頁岩と呼ばれる硬質の石が原料とされ、非常に薄くて鋭い刃をもった縦長の剥片が多く見られます。この中には、右の写真のように同じ形状のものが接合するものも十数点見られ、その状況から規則的に同じ方向から剥片をとっていたことが分かりました。また、縦長剥片をとるには、原石に加える力を柔らげるために鹿角や硬木などの軟質な道具が使用されていたと考えられます。このような縦長剥片をとる技術は、旧石器時代から見られますが、弓手原Ａ遺跡の剥片のように縄文時代中期頃まで残る例は、県内でもいくつか散見されます。この時期の縦長剥片の用途については、剥片の大きさや薄さから動物を解体するための万能ナイフである石匙などに加工されたと考えられます。
このようなことから、弓手原Ａ遺跡出土の剥片は、発掘調査時の出土状態や剥片の接合関係から、当時の生活や石器製作技術などの多くの情報を与えてくれる貴重な資料といえます。 （主任学芸員 国井秀紀）
11月６日（日）は、まほろん秋まつり！
‘まほろん秋まつり’は、復元した縄文時代の石斧で木を切る「木こり体験」、落ち葉でお面やおもちゃをつくる体験等、秋色満載の楽しい体験や、県立図書館「あづま号」等、盛りだくさんで準備しています。ぜひ、遊びに来てくださいね。
■ご利用案内■
開館時間：9：30〜17：00（入館は16：30まで）
休 館 日：月曜日（月曜日が祝日・休日の場合はその翌日、ただしGW・夏休み期間中は開館）、国民の祝日の翌日（土曜日・日曜日にあたる場合は開館）、年末年始（12月28日〜１月４日）
入 館 料：無料（体験学習は、材料費が必要な場合があります。）
そ の 他：団体（20名以上）でご利用の場合は、事前にご予約ください。