■「古代の鍛冶体験」の様子■

＜熱した鉄棒を金鎚で整形する様子＞

　平成22年10月９日（土）に実技講座「古代の鍛冶体験」を実施し、平成21年の「鉄づくり」イベント（まほろん４号炉の操業）でできた鉄を素材に、参加者の皆さんが古代の鍛冶屋さんに挑戦しました。
　昔はどこの町や村にも鍛冶屋さんがいて、炭火の中で熱した鉄をトンテンカン叩いて鍬や鎌などの鉄の道具を作ったり修理したりしていましたが、農林業が機械化するに従い鍛冶屋さんによる手作りの道具の需要が減り、次第に町や村からトンテンカン鎚打つ響きが聞こえなくなりました。
　今回の「古代の鍛冶体験」では、奈良時代の白河郡役所に関連する泉崎村関和久上町遺跡から見つかった工房跡をモデルにして作業場に鍛冶炉を３個並べ、県内でただ一人の刀鍛冶・藤安将平さんの指導の下、同村観音山北横穴墓から出土した蕨手刀（柄がワラビのような形をした刀）をモデルにしたペーパーナイフをつくりました。
　炭火の中で鉄棒の先を熱し、刃の部分をトンテンカン叩いた後、全体を整形し、柄にカラムシの糸を巻き上げて完成です。参加された方々は、全員、初めての体験でしたが、それぞれ個性的な作品に仕上がりました。また、大鎚（８�圓僚鼎気龍眥福砲播瓦鮹辰┐訝地�も行いました。作業場内の３箇所の鍛冶炉付近からそれぞれ響いてくる鎚の音を聞いていると、今から約1,250年前の白河郡役所の付属工房に響いた鎚の音が甦った感じがしました。
　なお、完成したペーパーナイフは、まほろん常設展示の「みんなの研究広場」コーナーで展示中です。


■体験学習■

＜里芋の収穫の様子＞

　「まほろん森の塾」　
　「まほろん森の塾」は、年間を通して古代の生活や文化について学ぶ体験学習プログラムです。今年度は、小学４年生から中学１年生までの11名が第10期生として活動を行ないました。
　日程や体験メニューは年によって異なりますが、今年度の内容は次のとおりです。
　��5月22日 　結団式
　��6月19日　 縄文時代の装身具づくり
　��7月17日　 七夕飾りづくり
　��9月18日　 古代の食生活体験
　��10月16日 土偶づくり
　��11月27日 土偶の野焼き
　��12月18日 解団式
　各回の様子については、まほろんのホームページ内の「まほろん森の塾の記録」にてご覧いただくことができますが、いずれも日常生活や学校の授業では体験できないものばかりです。特に、ここ数年は、塾生たちが自分たちで作物を育て、調理して食べるといった食育体験にも力を入れています。
　なお、来年度（平成23年度）の「まほろん森の塾」の詳細は、平成23年３月頃にまほろんホームページなどでお知らせいたします。ご期待ください。


＜遮光器土偶に挑戦!!＞

　実技講座「家族で土偶・土面をつくろう」
　ふくしま里帰り展『ふくしまの土偶』にちなんで、まほろんでは昨秋、土偶に関連した催しが目白押し。当講座も、その一つ。11月６日（土）に製作した土偶・土面を、11月27日（土）に野焼きしました。
　参加者は７組の家族、14名の皆さんです。遠くは会津若松市やいわき市からも参加され、楽しく土偶・土面づくりに挑戦しました。
　土偶のつくり方は、大きく分けて３種類あります。�＾賈腓稜甘敞弔任弔�る方法、�△い�つかの部品を別づくりにする方法、�Ｅ擺錣里茲Δ貿甘擇劼發鮴僂濔紊欧討弔�る方法です。多くの方が�△諒�法で、自分の足で立つ土偶をつくっていました。
　参加者のおひとりは遮光器（しゃこうき）土偶に挑戦。��の作り方で、中が空洞。つくるのがとても難しい土偶です。
　土偶の顔は、千差万別、さまざまな表情がありましたが、不思議なことに土偶の顔が製作者の顔に似ているように思われました。
　11月27日（土）、製作から３週間たち、すっかり乾燥した土偶を野焼きしました。朝９時から午後３時まで、６時間ほどかけてじっくり焼き上げ、世界に一つだけの土偶が完成しました。


＜印章の完成です♪＞

　実技講座「古代の印章（いんしょう）づくり」
　10月23日（土）に実技講座「古代の印章づくり」が行われました。参加者は、地元白河市周辺の方々や同市在住の外国の方も参加され、国際色豊かな講座となりました。
　印章は、古代から木・竹・石・角・象牙・金属・合成樹脂などの素材でつくられています。その一面に文字やシンボルを彫刻し、個人・官職・団体のしるしとして公私の文書に押し、特有の痕跡（印影・印痕）を残すことにより、その責任や権威を証明するものです。
現在でも、印章は私たちの日常生活の中で公私の責任を示す物として重要な位置を占めています。
　参加者は、名前やマークなどを自由にデザインし、材料の高麗石（こまいし）に転写して、専用の小刀で刻るという細かい作業に熱心に取り組みました。細かい作業のため、拡大鏡を使用したり、悪戦苦闘しましたが、参加者の皆さんはオリジナルの印章を完成させ、満足していただけたようです。