■文化財研修のご案内■
７〜９月の研修
平成22年の７月から９月までの文化財研修は次の７コースを予定しています。
７月10日（土）は、考古学基礎講座�掘岼畤�住の歴史（食）」を行います。江戸時代の食文化について、考古資料、文献資料に照らしながら、わかりやすく解説します。７月22日（木）から23日（金）にかけて行う「文化財保護指導者研修会」は、県内各市町村の文化財保護について指導的立場にある方々を対象とした文化財に関する専門的研修です。７月31日（土）には考古学と関連科学研修として「縄文時代の環境変化」を行います。これは福島県内の縄文時代の環境変化について、自然科学分析を通して研修します。８月には、８月４日（水）から６日（金）の３日間、「教職員発掘調査体験研修」を行います。遺跡発掘調査の作業を本格的に体験し、それによって得られた成果を学校教育や生涯学習に役立てる研修です。８月28日（土）に行う体験学習支援研修�機峺殿紊寮�色」は、体験学習を文化財啓発や公民館活動、学校教育に応用しようとする方々のための研修です。今年度はタデアイを中心に、古代より行われてきた染色技術について学びます。９月は、９月11日（土）に調査技術基礎研修を「石造物の記録方法」をテーマに行います。板碑の研究法と実測法を学び、地域に埋もれた歴史を掘り起こす実践講座です。９月25日（土）は専門考古学講座�機崑寝貍訐�庁跡研究の新知見」について、多賀城政庁跡の発掘調査に直接携わり、研究を進められている講師に最新の成果を報告していただきます。
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| ＜桜町遺跡：方形周溝墓内から出土した弥生土器＞ |
桜町遺跡の弥生土器
今回紹介するのは、会津盆地のほぼ真ん中に位置する湯川村の桜町遺跡の平成16年度の調査で出土した弥生時代後期の土器です。桜町遺跡は弥生時代後期と平安時代を中心とした遺跡です。会津縦貫北道路建設に伴う発掘調査によって、弥生時代後期の方形周溝墓が７基確認され、その中から多くの弥生土器が発見されました。方形周溝墓とは、遺体を埋葬する部分は土を盛り上げて塚状にし、その外周に溝を掘って四角形に区画したお墓です。弥生時代前期後半に近畿地方で最初につくられ、その後、東日本に広がりました。
桜町遺跡で出土した土器は壺形のもの（壺形土器）や台付きの杯形のもの（高杯）が多く見られ、中にはベンガラ（赤色酸化鉄）で赤く塗られた土器も含まれます。おそらくこれらの土器は、死者を弔う埋葬儀式などでお供え物を入れたものと考えられます。
方形周溝墓から出土した弥生土器は、会津盆地の伝統のある縄文のついた土器（天王山式系）を主体としていますが、北関東や北陸地方の弥生土器の特徴を取り入れた土器が多数有ることから、この時期に人々の広範な地域間交流があったことが伺われます。おそらくこの頃に会津盆地に定着した新たな集落が、水田稲作などの農業経営をもとにしながら比較的急速に成長し、次第に階層差が生じ、その中から権力をもった有力者が現れたと考えられます。方形周溝墓はこのような人物のお墓として登場したと思われます。
近年、会津地方の古墳文化の成立には、北陸地方の強い文化的影響があったことが指摘されてきましたが、桜町遺跡の調査成果は、その前段階に広範な地域交流があって、方形周溝墓が導入され、やがて会津若松市の会津大塚山古墳や会津坂下町の亀ヶ森古墳などの前方後円墳に代表される古墳時代を迎えることになったと考えられます。その点では、桜町遺跡の古墳時代直前の方形周溝墓の出現は、画期的な歴史事象と言えるのではないでしょうか。桜町遺跡の弥生土器はそれを雄弁に物語っています。（副主任学芸員 稲村圭一）
夏休みは無休です
もうすぐ夏休み。７月21日（水）〜８月24日（火）の期間中は、月曜日も開館しています。
楽しい体験を盛りだくさんで準備しています。
ぜひ、遊びに来てくださいね。
■ご利用案内■
開館時間：9：30〜17：00（入館は16：30まで）
休 館 日：月曜日（月曜日が祝日・休日の場合はその翌日、ただしGW・夏休み期間中は開館）、国民の祝日の翌日（土曜日・日曜日にあたる場合は開館）、年末年始（12月28日〜１月４日）
入 館 料：無料（体験学習は、材料費が必要な場合があります。）
そ の 他：団体（20名以上）でご利用の場合は、事前にご予約ください。