■まほろん春の展示案内■
テーマ：新編陸奥国風土記 −巻之六 行方郡−
会 期：３月15日（土）〜５月11日（日）
入場料：無料
新編陸奥国風土記の第７回目となる今回は、行方郡（南相馬市と飯舘村の付近）の収蔵資料を展示します。一部を除いて、ほとんどの資料が真野川流域のものとなっていますので、「真野川沿いに住んだ人々」をサブテーマとして、収蔵資料から昔の暮らしのようすや生業のようすなどを復元する予定です。
旧石器時代では、南相馬市荻原遺跡の旧石器を展示します。荻原遺跡からは、後期旧石器時代のナイフ形石器などの石器群がみつかっています。
縄文時代では、真野ダムの建設に伴って、上流域で数多くの遺跡が調査されて、この地域では、縄文時代早期から晩期までの各時期の集落跡が見つかっており、この中から代表的な遺跡の出土品を展示します。
古墳時代では、真野古墳群出土の双魚佩（金銅製の飾りもの）の復元品が当館に収蔵されており、実物とともに展示します。
奈良・平安時代では、下流域の金沢製鉄遺跡群の資料を展示します。金沢製鉄遺跡群は、古墳時代末から平安時代にかけての一大製鉄コンビナートとも言える日本でも有数の鉄生産地でした。当館野外展示のモデルにもなっている製鉄炉の資料や官人の火葬墓の資料などを展示します。
近世では、幕藩体制の下での鉄づくりの資料として、五台山Ａ遺跡の製鉄に関連する資料をご紹介します。
様々な資料を準備し、よりわかりやすい展示としたいと思います。皆様のご来館をお待ちしています。
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| ＜香炉形の縄文土器＞ | ＜大船さくＡ遺跡南地区出土土器群＞ |
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| ＜左：復元したアンギン台とコモヅチ（越後アンギン型）＞＜右：自然石のコモヅチとして使用した実験＞ |
アンギンとは、炭俵や蓆の編み方と同じように、緯糸にコモヅチの付いた経糸を絡めて編み進めて作った布のことで、コモヅチは錘としての役割をしています。
アンギンは、縄文時代の遺跡からも十数例出土していますが、土器の底部にもその痕跡が残っている場合もあります。やがて弥生時代になり大陸から織物の技術が伝わってくると、アンギンは急速に衰え、鎌倉から室町時代の頃に時宗の僧侶が着ていた法衣を除いては、ほとんど消滅してしまったようです。この後アンギンが私たちの前に姿を現すのは江戸時代の後半以降、新潟県中越地方という限られた地域においてです。これは越後アンギンとよばれ、製作にはまほろんの実技講座等で使用されているようなアンギン台と木製のコモヅチ（写真� 砲�使われていますが、縄文時代にはどのような方法でアンギンが編まれていたのかはよくわかっていません。アンギン台の一部と考えられる木製品の出土例がないことやコモヅチと推定できる錘がはっきりとしないことなどからです。
しばしば縄文時代の住居跡やゴミ捨て場の中から、漁網の錘と考えられている土錘や石錘、土器片錘等が出土することがあります。これらの遺物は、表面の溝に糸をかけられることもあり、コモヅチとして使用しても最適だったと考えられます。
そこでまほろんでは、実際に遺跡等から出土した土錘や石錘とほぼ形状が同じものを製作したり、また自然の小石等も使用しながら、実際にアンギンを編んでみました。その結果、大きさに関係なくある程度の重さがあれば、編み進めることができるということがわかりました。しかし錘の幅が広いと経糸の間隔も広くなり、細密な編目を作ることは困難になりました。写真�△麓�然の小石を使用した時のものですが、コモヅチとして使用するうえで何の問題もありませんでした。このことから、住居跡内等に、ある程度まとまって出土している土錘はもちろんのこと、小石等も今後注意しながら取り上げ、検証する必要あるのではないかと考えます。
次回は、アンギン台を使わない方法について、実験結果を報告する予定です。（主任学芸員 佐藤悦夫）
■研修だより−縄文時代中期末葉の土器研究（時代別研究研修）−■
時代別研究研修は、まほろんに収蔵されている遺物を実際に観察しながら、その遺物が使用されていた時代に関する研究成果を学ぶ文化財研修です。
今回のテーマは、「縄文時代中期末葉の土器研究」で、当館の学芸グループ課長鈴鹿良一が講師を担当し、12月15日（土）に実施しました。
福島県内の縄文時代中期末葉の土器は、近年、大規模な集落遺跡の調査が相次いで行われたため、良好な資料が増加しています。その多くが、まほろんにも収蔵されています。
これらの収蔵資料の中から、研修用に135点の土器を選び出しました。135点もの土器が並んでいる様は壮観です。研修は、午前に講義、午後に実物の考古資料を見ながら解説を行いました。
今回の研修は、43名の方が受講しました。受講者の中には、昼の休憩時間にも熱心に土器の観察をしている方もいらっしゃいました。受講者のみなさんからは、「たくさんの実物資料を見ることができてよかった。」との感想を多くいただきました。土器を間近で観察することによって、図だけではわからない土器の形や文様の変化のようすを学んでいただけたようです。
時代別研究研修は、多くの資料を収蔵しているまほろんならではの研修です。来年度も時代別研究研修を予定していますので、奮ってご参加下さい。
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| ＜白岩堀之内遺跡から出土した弥生時代の石器＞ |
今回紹介するのは、いわき市の白岩堀ノ内遺跡から出土した弥生時代の石器です。福島県内の弥生時代の石器は、浜通り地方北部の資料を中心に考えられてきましたが、近年では浜通り南部のいわき地域でも資料が増加しつつあります。白岩堀ノ内遺跡もそのひとつで、常磐自動車道建設に伴う発掘調査によって、遺物包含層から弥生時代中期（天神原式期）の石器が約2,000点みつかっています。
その種類をみると、太型蛤刃石斧、扁平片刃石斧、ノミ形石斧などのいわゆる「大陸系磨製石斧」に加え、報告書で「抉り入り両刃石斧」と呼称している特異な石器が認められます。太型蛤刃石斧は、おもに木を伐採するために用いられた道具、扁平片刃石斧とノミ形石斧は木材加工に用いられた道具だと考えられています。抉り入り両刃石斧は、敲いたことによってできる痕跡が刃の部分に観察されることから、何かを敲く道具であると想定されていますが、その使用法についてはよくわかっていません。
本遺跡からはこのほか、石包丁やコーングロスが付着した石器、根刈り具として用いられたことが想定されている板状石器など、稲作に関連する石器も出土していますが、中心となるのは石斧などの工具類です。このことから、ここで暮らしていた弥生時代の人々は、山と深い関わりをもった生活を営んでいたと考えられています。
今年も２月１日から、来年度の「おでかけまほろん」の募集を開始いたします。今年も20団体を募集する予定です。例年午前中で募集枠が一杯になってしまいますので、是非お早めにお申し込みください。
開館時間： 9：30〜17：00（入館は16：30まで）
休 館 日： 月曜日（月曜日が祝日・休日の場合はその翌日、ただしGW・夏休み期間中は開館）、国民の祝日の翌日（土曜日・日曜日にあたる場合は開館）、年末年始
入 館 料： 無料（体験学習は、材料費が必要な場合があります。）
そ の 他： 団体（20名以上）でご利用の場合は，事前にご予約ください。