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 まほろん移動展  


 4 古墳時代のムラとマツリ
 郡山市正直A遺跡のマツリの跡やその道具を作った工房跡からみつかった土器や玉類・石製模造品などを展示します。
 5 中近世のあぶくま
 郡山市木村館跡、小野町猪久保城跡などの中世城館跡の資料の他、三春町教育委員会の協力で西方館跡の遺物も展示する予定です。
 また、同じ会期・会場にて、「第10回市内遺跡発掘調査成果展」と「企画展:「郡山発祥の地−清水台遺跡−」」(ともに郡山市教育委員会主催、財団法人郡山市埋蔵文化財発掘調査事業団共催)が開催されます。

新編陸奥国風土記
―巻之三 安積郡ー

 場 所 郡山市民文化センター1階展示室
 期 間 7月24日(土)〜8月8日(日)
 主 催 福島県教育委員会・郡山市教育委員会
     財団法人福島県文化振興事業団
 共 催 財団法人郡山市埋蔵文化財発掘調査事業団
 前回の「まほろん春のてんじ(収蔵資料展)」を移動展として、今回は郡山市にて開催します。
 1 アサカのはじまり
 郡山市弥明遺跡のナイフ形石器など旧石器時代の石器13点を展示します。
 2 川辺の縄文集落
 大滝根川流域の三春町柴原A遺跡や越田和遺跡、谷田川流域の郡山市荒小路遺跡の縄文土器や土偶などの遺物や敷石住居跡写真パネル・模型などを展示します。
 3 弥生の祖霊像
 郡山市徳定A遺跡の人面付き壺形土器の破片を展示します。

 シリーズ復元展示  具体的な製作(鋳込み作業)は、3回行いました。1回目は、砂鉄原料の銑鉄(鋳物用の鉄のこと)のみを原料に使用し、鋳型に鋳込みました。
鋳込んだ結果、表面にはクレーター状の穴が無数にでき、穴が開いた箇所やひびも入ってしまいました(写真参照)。鋳物師業界で言ういわゆる“お釈迦”の製品です。鋳込みを担当した鋳物師さんの話しでは、「湯(鋳込む鉄のことを“湯”と呼びます)から火花が上がり、鋳込み口が全く見えず、カンで鋳込みを行った」とのことです。
これは、カーボン・ボイリングと呼ばれる現象で、原料である銑鉄中の炭素と酸素が反応し、鋳込んだ鉄の中から炭酸ガスが発生したものと思われます。
 この現象をいかしてに抑え、かつ、砂鉄原料の銑鉄を用いた鉄製梵鐘の製作のしかたや、その鐘の音については、次回お話し致します。

 まほろんでは、平成14年度から「古代の鉄」をメインテーマとし、古代製鉄遺跡から出土した鋳型からの鉄製品復元や、古代製鉄法による鉄づくりの復元操業などを行ってきました。この「まほろん通信」でも、8〜10号にわたって獣脚付き容器の復元や、「鉄づくり」イベントについて報告してまいりました。今回と次回の2回は、鋳型から復元した鉄製梵鐘についてお話しを致します。
 今から1,200年ほど前の平安時代、福島県浜通り地方北部の相双地域には、鉄の鋳物工場があり、新地町向田A遺跡や相馬市山田A遺跡では、獣脚付き容器や梵鐘、風鐸などの鉄製品が製作されていました。このうち、梵鐘は径27p、高さ38pほどの小型のもので(喚鍾、あるいは半鐘と呼ばれます。)、鐘身には袈裟襷による大小長短の区画が施され、鐘身に比べてやや大きめな龍頭の鋳型が発見されています。
一般的に梵鐘は、青銅製の方が、音が良く(余韻が残る)、壊れにくい(柔らかいため)と言われています。これに対し、鉄製の方は、音が悪く、壊れやすいことから、梵鐘を鉄で製作されることは非常に少ないと言われています。相馬地方の鋳物工人たちは、なぜ製作条件が悪いと言われる鉄製の梵鐘を製作したのでしょうか?今回の復元研究は、鉄製梵鐘の製作が本当に可能なのかどうかと、鉄製梵鐘の音色に重点を置いて取りかかりました。

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